スマートシティエキスポ ワールドコングレス視察研修を実施しました
2022年11月15日(火)~17日(木)に、スペイン・バルセロナにて世界最大級のスマートシティのイベントである「スマートシティエキスポ ワールドコングレス2022(Smart City Expo World Congress 2022)」が開催されました。SCI-Japanでは、今回3年ぶりに現地への会員向け海外視察研修プログラムを実施し、129名の方にご参加いただきました。また出展社関係者の参加も含めると、181名という大デリゲーションとなりました。
現地での様子を報告します。
SCEWC開催結果
2年ぶりのスマートシティエキスポ、リアル開催
COVID-19パンデミックの影響で、2020年は完全オンライン、2021年はハイブリッド開催と、この2年間は縮小開催となっていた同イベントでしたが、今年はようやくリアルメインの開催となりました。今回、出展企業・団体数853、リアル参加者数20,402名、オンライン参加が28,621名となり、世界各国からの関心の高さが伺えました。今年のエキスポのテーマは“Cities Inspired by People” 。人間中心、持続可能スマートシティの実現を担うグローバルリーダーたちが一同に会し、3日間にわたって「より持続可能、住みやすい街づくり」、「都市空間と都市開発のトランスフォーメーション」を推進する事例展示を視察し、さまざまな講演・議論に参加しました。
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エキスポの会場となったFIRA DE BARCELONA GRAN VIA入り口の様子
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会場の様子
各国の出展について
各国の展示は、メインステージと、その周りにブースを配置する形式が主でした。メインステージでは、カーボン・ニュートラルや包摂的なデジタル社会の実現に関するビジョンと施策のPRが行われ、それを支える技術・ソリューションを提供する企業やスタートアップ、国・自治体、産官学民イノベーション推進組織がブースで展示や説明を実施しました。
今回、最大級のブースは、Smart City Awardを受賞したDigital Seoulを含む韓国、バイエルン州をはじめとする州単位のブースがまとまったドイツでした。スペインからは国としてのブースのほか、カタルーニャ州、バルセロナ市が巨大なブースを構えました。
エキスポでは、革新的なモビリティ・システムにフォーカスしたTomorrow.Mobility World Congress 2022(TMWC22)も併設されていました。持続的なCO2排出削減、地球温暖化を抑制していく取り組みとして、マイクロモビリティ・ソリューションや、ガソリン車からEV自動車へのシフトなど、クリーンな充電ソリューションが紹介されていました。公共交通、マイクロモビリティ、自動走行車、物流におけるラストワンマイル、交通インフラ、未来の交通、そしてエネルギー移行と効率性を中心とした「都市モビリティの再考」を感じました。
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エストニアのブース
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韓国のブース
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スペイン・カタルーニャ州のブース
SCI-Japan企画、初の日本館展示について
SCI-Japanは、デジタル庁の後援のもと、「オープンイノベーションによる地域のWell-Beingの推進」をメインテーマに、会員である地方自治体、独立行政法人、民間企業にと共に初の日本館展示(日本パビリオン)を開催しました。東京都、京都府・JETRO京都、横浜市などの自治体、独立行政法人の他、民間企業では、NEC、 IIJ、村田製作所、アビームコンサルティング、ISID、インフォ・ラウンジの10団体が出展しました。
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日本パビリオンの様子
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デジタル庁 河野大臣による基調講演(事前収録ビデオで放映)
日本パビリオンでの会員各社の出展
■東京都
東京のスマートシティの近い将来の姿、成長し続ける東京の50年後の未来像“東京ベイESGプロジェクト”の他、大丸有エリア、竹芝・豊洲エリア他、民間セクターと取り組むスマートシティの最新の取り組みを紹介しました。
■京都府・JETRO京都
京都府は当エキスポに長く関与し、スマートシティを通じた都市間連携を推進しています。今回は、JETRO京都を中心に、株式会社 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、スタートアップ3社と共同で出展しました。
■横浜市
公民連携により新興国の都市課題の解決と横浜市内企業のビジネス機会の創出を目指す海外インフラビジネス推進プラットフォーム“Y-PORT CENTER”や、横浜市主催アジア・スマートシティ会議のほか、2050年までの脱炭素化を目指す“Zero Carbon Yokohama”の取り組みを紹介しました。
■NEC
メタバースなどとのリアルとバーチャルの空間を活用した“Next Generation Smart City” のコンセプトを紹介しました。また、日本も含め世界のスマートシティ都市OSの潮流の一端を担うFIWARE OSの日本、インド、EU、米国での活用事例とともに、FIWAREの開発コミュニティ、iHuBで新たに設立した日本拠点を紹介しました。
■アビームコンサルティング
データからアイディアを創造するソリューションサービスを紹介し、産業を超えてデータを共有、デジタルツインなどのオープンデータプラットフォームを活用した共創モデルによるスマートシティの未来を提唱しました。
■ISID(電通国際情報サービス)
スウェーデンのClimate View社が同国の国策「2045年までにカーボン・ニュートラルを実現」するための施策としてCO2の可視化・シミュレーションソフトとして開発した“Climate OS”を、日本向けにカスタマイズして展開することを紹介しました。温暖化対策を自治体、政府、企業がバラバラに取り組むのではなく、包括的に可視化し、政策に活かすことができることが特徴です。
■IIJ(インターネットイニシアティブ)、村田製作所
堅牢なセキュリティ基盤のもとでのIoTデータサービスプラットフォームを紹介しました。交通量のデータ販売サービス事業をきっかけに協業をスタートした東南アジア市場をはじめ、グロバール・データ・サプライチェーンの実現にむけて同サービスを展開していくとのことです。
■インフォ・ラウンジ
日本で国や地方自治体向けのオープンデータソリューションを提供する基盤、データのクォリティを高めるデータクレンジングのサービス、SaaSを通じてツールを提供するDatashelfを紹介しました。
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“Digital Garden City Theater”
パビリオン内に設けたプレゼンテーション・ステージ”Digital Garden City Theater”では、海外都市リーダーに向けてSCI-Japanが開発しているLWCI(Liveable Well-Being City Indicator)の発表や、出展各社によるプレゼンテーションが行われました。またバルセロナ市、フィンランド・タンペレ市、デンマーク、UK、ベルギー・フランダース州などの自治体や国とのダイアローグ・セッションを行い、都市間連携による持続可能なスマートシティと気候中立社会の実現に向けて、交流を深めることができました。その他、Fira de Barcelonaアレンジのテクニカルツアーでは、複数の海外ブース訪問なども行いました。
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日本パビリオンのプレゼンテーション・ステージ”Digital Garden City Theater”で各国とのセッションを実施
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UK視察団が日本パビリオンを視察した際の様子
参加者とのネットワーキングイベント:バルセロナ総領事館共催「JAPAN NIGHT」
日本パビリオンでは、11月15日、11月16日の2日間にわたり、バルセロナ総領事館との共催により、ネットワーキングレセプション「JAPAN NIGHT」を開催しました。海外からの参加者にも大好評の日本酒をアレンジ・紹介していただいたのはバルセロナに日本料理店を構える老舗和食店「Yashima(やしま)」。2日目には茨城県境町・橋本正裕町長が同町自慢の日本酒「徳正宗」大吟醸とともに、持参したおつまみ「干し芋」が外国人を驚かせました。
次回に向けての展望
本視察研修では、海外の先進スマートシティの優れた取り組み・技術の実装、組織運営の手法などを学ぶとともに、初の日本パビリオンを通じて、日本の優れた取り組みを世界に発信する好機会となりました。また、日本と海外都市との「都市間連携」から、更なる協力関係への発展、共創ビジネスチャンスの可能性も感じられました。
次回のエキスポでの日本パビリオン実施に向け、さらに多くの自治体、企業を巻き込み、国を挙げた産官学民共創事業の取り組みとして発展させていきたいと考えます。
なお、2023年は11月7日(火)~9日(木)に開催することが決定しています。SCI-Japanとしても、今年と同様、出展及び視察研修を実施する予定です。ご興味のある方は事務局までお問い合わせください。
https://www.smartcityexpo.com/
〔SCI-Japan事務局〕digital-society@murc.jp